靴磨き青年。ホームレス12日目の話
そういえば昨日八王子駅前でうとうと座って寝てたら
「路上ミュージシャンの方ですか?」と声をかけられた。
僕は「まぁ」とか適当に答えた。
声をかけてきた彼は菊池遼介くんという大学生で、
”外国に行ったことのない人の為に島を買いたくて
道行く人の靴を磨いて応援してもらう”
という
なんだかすごいんだか、すごくないんだか、よくわからないことをやっているらしい。
しかし彼の目は輝いていた。
僕は「ホームレスだから金がない」とか言って適当に答えたが
本当は彼の目が余りにキラキラ眩しかったので逃げたのだ。
僕は八王子駅の人の多さにビビっていた。
菊池くんは道行くサラリーマンにもグイグイ声をかけていた。
断られまくっても必死についていった。
その粘りの姿勢は全盛期のガットゥーゾを彷彿とさせた。マルディーニ、セードルフ、ネスタ、ACミランがまだ強かったころの…
そんな話はどうでもいい。
僕ももっと恥を捨て欲望に向かって目をキラキラさせるべきなのだ。ガラスの仮面張りに。
そんな彼と話しているとき僕は思わず「家あるんだ」と言ってしまった。
そう、路上でなんかやってるやつは勝手に皆ホームレスだと思ってしまう思考回路になってしまった(笑)
中野で座ってた時に話しかけてたおじさんとかも自称詩人で、音楽は、演歌は嫌いだが美空ひばりが好きだとか言ってて、僕がホームレスだと話すと「俺も君と同じようなもんだよ」と言っていたからだ。
「お茶を買ってきてやるからそこで待ってろ」と言われたので二時間ぐらいそこで待ってたがおじさんは帰ってこなかった。
あれは僕の願望が作り出した幻覚なのだろうか。