ほとんど家にいる

フリーター時々ニートが世の中にある「死ねばいいのに」と思ったことを書きます。

「海よりもまだ深く」の感想。”今”と”未来”を諦める。

こんちは!最近は実家で皿洗いして庭のゴミ拾いして

泊めてもらってるしょうちゃん(鈴木翔人)だよ~!

 

 

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一昨日、是枝裕和監督の「海よりもまだ深く」観てきた。(親の金で)

僕は是枝さんのファンでCoccoの映画と「奇跡」と「空気人形」以外は全部観てる。

海街diary」は映画館に二回見に行って、二回とも号泣した。

 

今回の「海よりもまだ深く」略して「海まだ」もかなり良くて

まぁ当然のように上映中三回くらい泣いたな。

泣けるし笑える。

これからネタバレするんだけどネタバレって言っても

「離婚した家族が台風の日に一夜を共に過ごす」っていう

予告とかで流れてるそのまんま、それだけの話なので

ネタバレもクソもないんだよ。

 

泣けるって言ってもこの作品、というか是枝作品は

「感動!」とか「全日本が泣いた!」とかじゃなくて

阿部寛樹木希林がただ喋ってるだけで泣けてくるんだよ。

 

樹木希林がカルピスでアイスキャンディーを作るんだけど

そこだけで泣けるね。

あとさ、阿部寛が金ないのに息子に「ミズノ買ってやるよ」って言って

高いスパイクを買おうとするんだけど

金がないからわざと自分で汚れさせて値切ろうとするんだよ。

 

このシーン笑えるんだけど同時に凄くみっともないんだよ

惨めなんだよ

だから泣ける。

生きていくってこと自体がみっともないし惨めなんだ。

 

阿部寛が「本当はいい人」でも何でもない

ギャンブルばっかやって後輩に金借りて

高校生恐喝して、仕事の金チョロまかして、

親の金を盗もうとして、プライドが高くて口ばっかりで

 

でも、

それでも生きてていいんだよって

是枝さんはいつも言ってくれてる

駄目な奴でも生きることを肯定してくれる。

劇中で樹木希林がみかんの木を指して言う。

 

「花も実も付かないんだけどね。なんかの役には立ってんのよ」

 

 

そして”生きることの肯定”は”日常の肯定”でもある。

またしても樹木希林が確信的なセリフを吐く

(是枝さんは樹木希林を相当信用していて自分の思いを彼女に言わせる傾向がある)

 

「男ってのはなんで今を楽しめないのかね」

 

ズドーン!!と胸に来た。

数日前に男と女の違いについてブログで書いたんだけど

僕が思っていたことと一緒だ。

 

男は友達とランチとか行かないし

男同士で行ったとしても「飯を食べる」というのが目的なので

その場で楽しくおしゃべりしようという感覚ではないのだ。

よく言う話で

女の人は買い物自体を楽しめるから

買わないものが決まっていなくてもとりあえず買い物に行くんだけど

男は何かを買うっていう目的があって買い物に行くから

一緒に買い物に行くとケンカになるってのがある。

 

簡単に言えば要は、男は射精するために生きているのである。

女は違う。二人でいる時間が大事なのだ。

僕はアダム徳永の「スローセックス完全マニュアル」を熟読したので間違いない。

 二冊目も読んだ。

 

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しかし、こういう男の考え方で生きるのも辛くなってきてるだろう。

生きることの「目的」ってなんなんだろう?って考えると

家を買うとか、イイ車に乗るだろか、

つまり、金を得るってのが一つの成功としてあったけど

それは経済的に伸びてるときはいいけど、今はなかなか難しくなってきてて

目的の為に日常を過ごすっていう男性的価値観では苦しいことの方が多くなってしまうかもしれないから。

 

だから僕はランチを食べて楽しめるような男になりたい。

何気ない話を出来るようになりたい。

ノンスタイルの井上さんは学生時代に女子の中に一人混じって

話してたらしいね。だからモテるんだ。

 

実際僕が一日中公園にいた時、一人で公園に来るのは皆おじさんで

ホームレスぽい人も、そうじゃない人も黙ってボケーっとしてるだけなんだよ。

 

オイ!なんか喋ろうよ!

僕も喋ってないけどさ!(笑)

だから女より寿命短いんだよ!

熟年離婚したら女は元気になるとか言うしさ!

若い男子にオネエっぽい人が増えてるのは

コミュニケーションしやすいんだろうね。そっちの方が。

 

女の人はわからないかも知れないけど

男は金に期待されてないってわかってても見栄をはるし

ケンカが強いフリをするし、弱みを見せたくないし

人の目を気にするし、プライドが高いし

それか逆に行くと極端になっておちゃらけるとか

そう、正に俺だ!

 

男はそういう虚勢を張れなくなると

コミュニケーションしなくなって行くんだろうな。

いや喋らないでそこに居るのも一つのコミュニケーションではあるんだけど

もう言わないとわかってくれない時代になってるわけじゃん。

だから不機嫌そうな顔して虚勢張っててもダメなんだよ。

僕くらいの世代は石原慎太郎とか伊集院静とかの言ってることが

はっきり言ってまるで共感できないからね。

 

でもそういう頑固親父をキュートに描くから是枝さんは凄いし

僕も「夢を捨てて現実を見ろ」ってことを言いたいんじゃなくて

 僕もずっと”何かになる”のを目的に生きてきてて、目的から逆算してて

でもそれだと無意味に思えることが増えて楽しくないんだよね。

無意味なことが増えると自分を愛せない。

そもそも生きるのに意味とか考えなくていい。

かといって逆に振れてシラケてる奴にもなりたくない。

今日を楽しみながら夢を見るのだって可能だろう。

敢えて男はこう、女はこう、って書いたけど男でおしゃべりな人もいるし、女で暗い人がいるのも知ってる。

男性性と女性性と言うべきか、男性的な価値観と女性的な価値観の違いというのは間違いなくあるだろう。自分が当てはまるか当てはまらないかという話ではなく。

オスは何万年も前から狩りに出てて、メスは何万年も前から子供を産んでたわけだし。

 

映画の話に戻ると阿部寛の息子が

「野球選手になんかどうせなれないよ」って言うんだけど

「なれなくても、なりたいと思って生きていくのが大事」って阿部寛が返すんだよ。

ダメな奴が言って説得力があるのかどうかわかんないけど僕も一緒の考えだ。

 

世間には「夢は見るものじゃなくて叶えるもの」っていうテーゼがあるけど

夢は叶えたいけど叶わなくても、夢を見てれば生きていける。

叶う、叶わないは”今”から”過去”を見た結果論だから。

叶えるってことを考えると、どんどん縮小していくし

”夢”は”未来”だから明日死ぬかもしれないのと同様に誰も否定できない。

だから夢をいくつも持てばいい、呆れられるくらい小さいことから

笑われるくらい大きい事まで、そうすれば今も楽しくなる気がする。

 

売れっ子作家を目指して家庭を守れなかった阿部寛樹木希林はこう言う。

 

「幸せってのはね、何かをあきらめないと手にできないもんなのよ」

 

この言葉もかなり重い。

ただ、”諦める”ってのは単純に作家を辞めて就職するということだけではない。

 

「なりたかった大人に なれなかった人へ」

 

というのがこの映画のテーマだ。

実は、なりたかった大人になれている人なんていない。

例え夢の職業に就けたとしても、全てが理想通りの”今”がある人なんていないだろう。

だから”諦める”というのは就職することでだけでは無くて

”今”を認めることが出来るかどうかだ。今の自分が出来ることをやるかどうか。

「諦める」ってのは「明らかにする」ってのが語源らしいね。

明らかにして、出来ることをやる。

 

映画の中で阿部寛にマンガ原作の話が来るが、彼はそういう仕事を馬鹿にしていて

金がないくせに”俺は小説しか書かないよ”という態度をとる。(そのくせ親の金を盗もうとするから情けない(T_T))

理想とは違う仕事を受けるかどうかは人それぞれだと思うが

今の自分に出来ることをやる。それを他人に見せる、伝えるっていうことが大事なんだと思う。

 

しかし、自分で書いていて僕自身、耳が痛い。ブログだから目が痛い?(笑)

 

この映画で阿部寛は夢を追い過ぎて、

結果的に離婚して、誰かを傷つけてしまったかもしれないけど

家族と過ごした一夜で”過去”と向き合えたことで

”今”の大切さを知った彼は一日一日を大事にしながら

諦めながら”未来”に歩き出せるはずだ。

夢が叶うかどうかなんて知らん。

僕は日産スタジアムでコンサートがしたい。

 

Any/Mr.children

「今 僕のいる場所が探してたのと違っても

間違いじゃない きっと答えは一つじゃない」

 

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